僕は4番バッター いやなめられる 俺は4番バッター
でも家に帰れば嫁と姑の板挟み
だからなのかやけに3番と5番が怖い
さしづめ3番が嫁 5番が姑か
いやまてむしろ3番のあのアゴのとがり具合は姑に似てる
いやいやいや3番のあのストライク臭いボールをカットする時の
音は、嫁の舌打ちそっくりで体が震える
おっと大事なことを忘れてた 5番のあのベースランニング
前を走る俺を追いかける様は、包丁を持って走る嫁そのもの
またいつものようにチャンスに出番が回ってきた
ランナーは返した エースも降板した
でももう時間がない
監督が代打を告げる準備に入ってる いつものことだ
家庭の事情を知っている監督は俺を早く家に帰してくれる
買い物していかなければいけないからだ
僕はいや俺はいやここからは僕モードで
僕がロッカールームに戻ると2通のメールが届いた
嫁「今日は実家に帰ってます。外食してきて下さい」
姑「今夜は食事会で遅くなるから」
チャンスだ!ついに本当のチャンスが来た!
まだ間に合う!監督に代打を告げさせないぞ!
すぐにベンチに戻ると、まさに交代を告げる瞬間だった
待ってください監督!!
お前大丈夫なのか?
はい 俺は今日最高の気分です
打ちます!絶対に打ちます!
よしっ行ってこい はい!
9階の裏 得点は9対6で負けている
ツーアウト満塁 ホームランを打てばサヨナラ
俺は深呼吸をして、得意のライトスタンド方向を見た
すると なんと 嫁と姑が座っているではないか!
監督の方をちらっと見てみると
うんうんうなずいている
知ってたんだ 監督知っていたんだ
「やっと仲良くなったのか」
俺はそう思う間もなくがむしゃらにバットを振った
すごい手ごたえだ!
飛んだ!ものすごく飛んだ!
次の瞬間 嫁にボールが 姑にバットが突き刺さっていた
〜平成の必殺仕事人より〜