最期の夏が終わろうとしている
今俺はこの甲子園のマウンドに立っている
汗が目にしみる
1点リードで向かえた9回裏ツーアウト そう俗にいうあと一人だ
カウントは2ストライク2ボール
1塁にはさっきのフォアボールでランナーがいる
もう限界なんだよ
指に力がはいらねえ
相方が怪訝そうな顔して走ってきた
黄金バッテリーとよく言われたものだ
ゆういち「おまえ もう駄目だろ」
俺「・・・」 あまりにストレートにいわれて俺は言葉が出なかった
ゆういち「おまえがいなきゃここまでこれなかったんだ おまえ自身が決めろよ」
俺「・・・」
ゆういちはそれだけ言うと自分の場所へ戻っていった
俺の心は決まった あと一人 あと一人なんだ・・・
聞こえる怒号にもにた喚声
汗がひいた
ゆういちのサインは まっすぐ
それっきゃないだろ
もう 自分の心音しか聞こえない
ランナーを無視して 俺は振りかぶった
頼む あと一球
後一球・・・
ゆういち「はーい あわてない あわてない 一休み 一休み」