「叫んでも無駄だぜ。
ここは町外れの倉庫の中だからな」
俺は怯える自転車に追い打ちをかけるようにそう言った。
自転車は抵抗こそしなかったが、俺を映すベルには絶望の色が混ざっている。
俺は優しい指使いで、サドルを愛撫する。
妖しく光るメタリックの肢体に、俺は興奮していた。
豊満なタイヤに舌を這わせた。
敏感なバルブも入念に舐めて絡めとる。
チェーンにも手を伸ばした。
ぬめりとしたオイルが俺の手に付着する。
「おや、もうこんなに濡れてるじゃないか」
俺はニヤリと微笑むと、自転車のハンドルの根元で囁いた。
「自分の自転車のこんな姿を見たら…お前の持ち主はどう思うかな?」
俺は嫌がる自転車を無理矢理押し倒した。
ガシャアアァァァン
自転車の悲鳴は倉庫内に響いただけで、誰にも届かなかった。