セコンド 「分かっているな?今回勝てば世界チャンピオンにチャレンジできる権利が貰える。死ぬ気で勝ってこい!!」
選手 「分かりました!死ぬ気でぶつかってきます!」
カーン
セコンド 「いいぞ!そこだ!いけ!選手!右だ!ワンツー!選手いいぞ!」
カーン
選手 「ハァハァ・・」
セコンド 「お疲れ!良い試合運びだったぞ選手!!」
選手 「会長・・」
セコンド 「何だ?」
選手 「あの、、」
セコンド 「なんだ!?」
選手 「その、「選手」って呼ぶのやめてもらえないですかね・・」
セコンド 「何故だ!?お前は立派な選手じゃないか!!」
選手 「そういうことではなくて、リングネームで呼んでくださいよ!」
セコンド 「もういい!!第二ラウンドが始まるぞ!用意をしろ!!」
カーン
選手 「くそう会長の奴め、まだ俺のことを「選手」と呼んで応援してやがる・・くそ!気になって試合に集中できない!!」
相手 「うひひひひーチャーンスゥゥゥ!!」
ボコォ
選手 「グウゲゲ・・」
ドタ
セコンド 「選手ーーーーーー!!!!!!!!」
レフェリー 「カウーント!!ワン!ツー!スリー!」
セコンド 「立てー!!選手ー」
レフェリー 「フォー!ファイブ!シックス!」
選手 「うう・・」
実況 「おーーっとぉ!ふらふらと立ち上がった「ピーーーー」選手!!しかしその両目はまだギラギラと燃えています!!がんばれ「ピーーー」選手!!」
選手 「うぉぉぉぉ」
カーン
レフェリー 「ストーップ!!ストーップ」
セコンド 「選手!落ち着け!」
選手 「ふう・・ふう・・」
セコンド 「よく聞け選手!今の相手からダウンを取るのは至難の業だ!まともに叩き合ってはこちらが潰されてしまう!逃げ回る事だけに集中しろ!分かったな!」
選手 「ふう・・・ふう・・」
カーン
相手 「顔がぁぁぁがら空きぃぃぃぃぃ」
グド
選手 「じゅ」
相手 「うひひひ恨むなよぉ」
レフェリー 「カウーーーント!!ワーン!ツー!スリー!フォ・・ドクター!!ドクターー!!!!!」
実況 「ああーーっと「ピーーーー」選手が!!今担架に乗せられて運ばれています!!」
セコンド 「あああぁぁあぁぁあ!ワシの・・ワシの・・立てー!!「ピーー」!!立ってもう一度ワシに夢を与えてくれ!「ピーーーーー」よ!!おおおおおぉおおぉ・・あまりにも残酷ではないかぁぁああ・・・」
故郷でその試合を見ていた母は、息子の身を案じ、神棚に供えておいた「体育に便利!」と書かれたシールのついている笛を「ピーー」と一度吹いた。
隣に住んでいる人は、夜遅くに何をしているんだと怒りに行こうとしたが
条件反射で「前にならえ」をしてしまった自分が照れくさくなりふっと笑って寝た。