「なぁ、ポール。
俺達のバンドには何か音が足りないと思わないかい?」
「なんだって?ボーカルもギターもベースもドラムもいて、何が足りないっていうんだい、ジョン?」
「実はこの前、ジャパンにトラベリングに行った時、俺達に足りないものを見つけてしまったんだよ」
「本当かい?いったいそれは何なんだ?」
「木魚というジャパニーズドラムさ」
「木魚だって?」
「そう、あれはとても熱いジャパニーズソウルを秘めたドラムだったよ・・・
しかし、その楽器を演奏するためには仏教に入らなくてはいけないんだ。ポール、これを見てくれ」
ファサッとブロンドのカツラを取るジョン。
「おお、なんてことだいジョン!髪の毛が一本もないじゃないか!」
「これが木魚を演奏するジャパニーズスタイルなんだ。
俺はこれからジャパンへ行って木魚を学んで来るよ。
それまで、ポール、君がこのバンドのリーダーだ」
「ジョン…わかった。
お前が帰ってくるまで、このバンドをまとめてみせる!
達者でな!ジョン!」
そしてジョンはジャパンへと旅立った。
仏教の真髄を学び、必ず木魚を極めて帰ると約束して。