売れないピエロは生活に困りストリートで芸をやることにした
愉快なダンスをやってみせたが忙しいニューヨーカーはそんなもの見ようともしなかった
そんな事を同じ場所で何日も何日も続けている訳だから物を投げられることも多々あった
そんな日はピエロは泣いて帰った
いつもより熱めのシャワーを浴びて浴槽の中で大声で泣くのであった
だがそんなことでダンスを、仕事をやめるわけにはいかない
しかしその気持ちとは裏腹に踊りは精彩を欠いていった
それもそのはず、ピエロはここ何日かろくに食べ物も食べていないのである
そんな死にかけの馬のようなダンスを見せられては通行人もたまったものじゃない
遂にはいつもは素通りする通行人たちまでゴミを投げ始めた
ピエロは泣いた。初めて人前で泣いた
しかしその化粧が崩れた滑稽な泣き顔に通行人たちの加虐心はさらに煽られた
皆会社に行くことなど忘れ足元のゴミを投げることだけに精を出した
するとどうだすっかりその一帯は綺麗になり、ピエロは市長に表彰された
褒められることに慣れていないピエロはそんな時どういう顔をしていいのか分からずとりあえず笑っておいた
しかし、その笑顔は泣き顔と区別がつかないほど歪んでいた
その後市長はゴミ問題を解決したピエロを称えるためピエロがゴミを避ける姿をラジオ体操にしたのでした