職人「ええか、ぼん おっちゃんのをしっかり見とくんやで」
子供「うん」
職人「おでん鍋ってのはな、繊細なんや まず銅板を折り曲げて鍋の形にする」
子供「なるほど」
職人「次はその合わせたつなぎ目を火で加熱していき大雑把な鍋の形にしてやる」
子供「こりゃすごい」
職人「まだまだ、これからが本番や しっかり見とけよ」
子供「わくわく」
(カンカンカンカン)
職人「どうや、ぼん こうすることで鍋はだんだん均整のとれた形に仕上がっていくんや」
(カンカンカンカン)
職人「1つのところを叩くと別のところでひずみができる」
(カンカンカンカン)
職人「それらを考えながら叩かないと全体がゆがんでしまう」
(カンカンカンカン)
職人「しかも焼いて柔らかくなってる銅板も叩くとまた固くなってしまうから勝負は1回勝負なんや」
(カンカンカンカンカンカンカンカン)
職人「よっしゃできたわ」
弟子「親方、それ鍋じゃなくて子供です」