なんだ?兄ちゃん、その写真集の価値がわからねぇってか?
いいよ、説明してやるからよーく聞きな
その写真のオッサンさ、平凡てぇ〜てか、個性がねぇ〜てか
ホント〜にドコにでも居そうだろ?
世界中のどのオッサン連中に混じっても、あっという間に馴染んじまう
お前さんもそう思うだろう?
ん?そうだろう?
じゃあ、何でこんな只のオッサンの写真集が売れるかわからないってか〜
まあ、仕方ないわなぁ〜お前さんはまだ若いもんなぁ〜
ここからが大事なんだ、平凡って見方を少しだけ変えてみるんだよ
平凡っていうのは言わば平均的ってコトだ、わかるかい?
ん?なんだ?平均的なオッサンの価値がわからないのかい?
お前さんもテストで平均点を聞いて、点数の良し悪しを判断するだろう?
平均点ていうのは一つの基準なんだよ、時計やものさしと一緒さぁ〜
無いと世の中が混乱しちまうのさ、分かるだろう?
でだ、このオッサンはこの世の中の全てのオッサンの平均、つまり基準点
言わばオッサンのグリニッジなのさ!
ん〜〜〜なんだ、まだ怪訝毛な顔してるじゃぁないか〜
ほら、あそこに居るオッサン、この写真のオッサンと比べてどうだい?
・・・・そう!ちょこっとだけカッコイイ!!
つまり、あそこに居るオッサンは平均より少しだけ上ってコトだ
分かっただろう、この写真集の使い方がさぁ
まだまだ、要らないって顔してるなぁ〜
例えばだ、君が会社に就職して上司に
「部長カッコイイですね」て社交辞令を交わしたとする
でも部長が基準以下なら、俺のこと馬鹿にしてるのか、若造が〜!!
て、コトになったりするんだよ
基準以下なら「部長個性的ですね」が正解なんだよ、なっ
もし、その判断ミス一つで出世街道から外れてみなよ、大損だよ
だから、そういうときの為の写真集なのさ、判るかい?
おっ!買うのかい?
よし、本来ならプレミア価格のところを定価で売っちゃうよ!太っ腹だろ?
・・・・いや、ちょっとまてよ、そうだ!一割引にしてやるよ!
その代わりな、この平凡なオバサンの写真集も買わないかい?
こっちは定価だけどな
おっ!買ってくれるのかい?
いいねぇ〜賢いねぇ〜よし、おまけにオッサンのブロマイド付けてやるよ!
財布の中に入れとけば、いつでもどこでも基準が判る優れものさぁね
はい、まいどあり〜
あっ、来月には平凡な兄ちゃんの写真集が出るから、また来なよ!