カラスが巣を作っている。カラスがハンガーを持ってきた。カラスは賢い、人間が作った丈夫なものを使って、丈夫な巣を作る。カラスが巣から飛び立つ。カラスはまた、ベランダに向かって飛んでゆく。カラスがベランダに到着した。カラスが到着したベランダは、間違いなく私の家ものだ。カラスは困惑した表情で歩き回る。当たり前だ、私は服を着ない、ハンガーなどあるわけないだろう。バカめ。お前らは確かに賢い、だがお前らがどれだけ人間を理解したとて、私のような人間の思考には到底たどり着けないだろう、愚かな生き物、雑魚、死ねカス。カラスが諦めた様に隣の家へと移る。カラスはいつも通りハンガーを見つけ、一つを咥え、満足げな顔で飛び立った。カラスは巣へと戻っていく。巣が完成すれば、卵を産み、子が生まれ、子に飛び方を教え、巣立ちを見送るのだろう。カラスは賢いから、そんなことをもう想像しているのだろうか。この先の幸せを想像して、いま努力し続けているのだろうか。私はたかがカラス如きの幸せを間接的に支えることもできない。私は服を着ない、愚かな生き物、雑魚、死ねカス。