ある男の話をしよう。当時、彼は大狸と手を組んで日々盗みを繰り返していた。チンケな盗みも積もれば大きな犯罪となるらしい。いつしか彼らは金玉強盗と呼ばれるようになっていた。ある日のことだ。タヌキの金玉をレースのカーテンのように煌びやかにあしらい、その陰に身を隠すことにより華麗に警察の目を掻い潜っていた彼だった(これが金玉強盗の名の由来である)が、プロペラのように回るわけではなく、パラシュートのように波打つわけでもない、ただゆらゆらと静かに、タヌキの一挙手一投足で揺れ動くその金玉の厳かさからどうにも目が離せなくなり、ここで勘違いして欲しくないのは、タヌキの金玉そのものではなく、これは形而上の話で、その象形的とも言えるエロスに惹かれた、例えるならギリシアの彫刻のような、狂気とも言える執着心が生んだ肌に張り付く布の質感__解りますか?__古代ギリシアより現代の日本まで、時代と国境を超越する飽くなき性への探究心が私の心を震わせ、身体をも奮い立たせたのです。私は当然我慢ならずズボンを下ろしました。そして勢いよく下ろした反動で飛び上がったモノの影が金玉の向こうに透けて見えてしまい、影絵のように(具体的に申しますと海賊船の船首ように)揺れ動くチンポが、玉袋の裏に海賊がいることが、日本の警察機関の方々にとってはあるまじき事態だったのでしょう。