まずアホの出自を明らかにする
アホ=遠藤光夫、12歳、広島県在住、趣味はバスケ
遠藤光夫は姉の遠藤愛子と仲が悪く、度々喧嘩をしていた。光夫とは違い、愛子は成績優秀、親からの期待も寄せられていた。ある日光夫は愛子が父武則に買ってもらった合格祈願のお守りを破いた。理由はその前日、愛子が光夫がプレイしていたゲーム機の電源を引き抜き、ドライヤーを使ったからである。光夫と二つ年の離れている愛子は、所謂”進学校”の高校の受験を決めていた。愛子は声をあげて泣いた。彼女がそのことをパート勤務から帰ってきた母美香子に告げ口すると、美香子は初めて、自らの子に手を上げて叱った。光夫が倒れた先には遠藤家が三年前から飼っている金魚の入った金魚鉢があった。その夜、武則は金魚の死体を処理しながら光夫に「愛子の邪魔だけはしてくれるな」と言い放った。光夫は絶望した。その時なぜだか、昨日プレイしていたスーパーマリオの、マリオが巨大キノコを食べた時のサウンドエフェクトが、頭の中で延々と再生されて止まらなかった。この状況を挽回するには、愛子よりもいい点数を取って帰ってくるしかないと思った。しかし光夫は、本腰を入れて勉強をしたことなど一度もない。バスケットボールを抱えながら理科の問題を読んでいると、いつの間にか夜になっていた。これまでずっと両親に褒めて伸ばされてきた愛子に実力で勝つことは不可能だと悟った。カンニングをするしかない。光夫はお守りを破いたとき、中に不思議なものを見つけていた。まずそこには二つ折りにされた無地のボール紙があり、それで挟むようにして、何か文章の書かれた紙が入っていた。
「これを見つけた君に、スペシャルインフォメ~ション!!!神様は実は”カンニング”を嫌ってはいない!むしろ、天界において”カンニング”は推奨されている行為なのである!(ちなみに天界で人気の芸人は”カンニング”竹山( ´∀` ))ただしだからといって、大平(おおっぴら)にしてもいいというものでもない。バレなきゃ犯罪じゃない、バレなきゃ原罪じゃない( ゚∀゚)!じゃあどうすればバレずにカンニングをすることができるのか??それは・・・透明人間に、なればいいのだ!!」
ええっ
「☆透明人間になれる裏ワザ☆
手順その1。老眼鏡をかける
その2。チューインガムを噛む
その3。ガムを飲み込み、「リヴァイアサン」と言う!
以上 この紙はおわり」
目が痛いのを我慢して、いつもより早く家を出た。
「あれ、遠藤お前目が悪かったっけ?」「うん。実は今までコンタクトをしてたんだけど、どっかに失くしちゃって。」「へえ。でもお前、テスト中はただ寝てるだけだから意味ないんじゃないの!」「おいそこ、もうテスト始まるから静かにしろよー。」「はあい。」
「よし・・・パクッ。モグモグモグ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴックン。
リヴァイアサン!!!!!」
今度は、スター状態のBGMが聞こえた。