9回裏 満塁 4−0 一打同点のピンチだ
監督「吉村…行ってこい!」
俺はそう言われてピッチャーマウンドへ向かう
ピッチャー「後はまかせたぞ!」
俺「おう!」
渾身の第一球
(ヒューーーーバチン!)
観客(ざわざわ…ざわざわ…)
審判「!!!ボ…ボーク!」
少し緊張したのだろうか牽制球に似せて
スコアボードに向かい投げられた俺は
見事ボークの判定を取られた
だがこれは問題にならない
まだ4−1だ
次は四番バッター、冷や汗が垂れる
(ヒューーーーー・・・カキーーーン!)
乾いた音とともにボールは無情にもライトスタンドへと向かっていく
審判「・・・ホームラン!」
打球は俺達の希望を引き裂くがごとく我がチームのアルプススタンドへ吸い取られた
でも大丈夫、なぜなら俺がいるからだ
(ウイィィィィィィィン!)
審判「ゲームセット!」
何故だ!?何故ゲームセットなんだ!?
俺はちゃんとスコアボードにへばりついて
相手チームの得点を隠してるというのに!!
9回裏の相手チームの得点を体いっぱい使って隠してるというのに!!
監督も俺も気付いてなかったみたいだ
合計得点の場所を隠さなければいけなかったということに……