「豊田さ〜ん、3番にどうぞ〜」
(…ここは…病院…?)
「豊田さ〜ん、いらっしゃいませんか〜」
(…俺はたしか…トラックに轢かれて…)
「豊田さ〜ん」
(……そうか…俺は病院に運ばれて…)
「豊田チヨさ〜ん、いらっしゃいませんか〜」
(…くそっ…意識が……朦朧と……)
「豊田さんさっきトイレ行ったよ〜」
「ああ、そうなんですか〜!」
(…うっ……ここは?……公園みたいな……この景色……どっかで…………そうだ………大学時代よく夏美とここへ…………)
ガチャ
「クッセ!」
「うわっ!豊田のババアゲロ吐きやがった!」
「なんで流さねえんだよ!」
「う〜わウンコもビチャビチャじゃん!」
「えぇ?」
「てめぇの糞とゲロが臭えって言ってんだよ!」
「あぁ、そうですか、えぇ、」
「そうですかじゃねえんだよ!流せって言ってんの!」
「あぁ、はいはい、トヨダです、」
「ババア耳腐ってんじゃねえの?」
「豊田さ〜ん、3番にどうぞ〜」
「へぇ?」
「3番のドアに入ってくださ〜い」
「えぇ、あぁ、3番ね、はいはい、」
(…懐かしいな……あのベンチは……たしか………ん?………誰か座ってる……………誰だろう………………まさか…………夏美?……そうか……会いに来てくれたんだね………なつみ…………なつ…み……あい…して……る…………………な……つ………………)
(「トヨダです、86歳。」)