ここ数年、彼は丸亀製麺の虜になっていた。
どれほど彼が丸亀中毒かというのは、毎日息子と欠かさず見る「笑っていいとも!」のレギュラー陣全員がちくわ天に見えてしまうところからもうかがえる。
「息子よ、こうもちくわ天ばっかり見てるとおろし醤油が欲しくなるね。」
「パパ変。」
いつもこんな調子だった彼にも、嫌いなメニューが一つだけあった。
わさびいなりだ。
しかし、わさびいなりとジャンボ尾崎は切っても切れない関係にある。
彼は悩んだ。
そして彼の考え抜いた末の決断はこうだ。
『ジャンボといなりは関係無い』
彼にしてはとてもシンプルな答えだった。
この論文は瞬く間に世界中のジャンボ尾崎に知れ渡り、今ではグラミー賞の歴史を語る上では必要不可欠な逸話となっている。
「だって考えてもみてよ、ジャンボはゴルファーだ。いなりは食べ物だよ? 全く関係が無いんだ。どうして気付かなかったんだろう。」
そして彼は、取材の最後にこう付け加えた。
「ジーザス、今じゃ嫁も子供も逃げたけど、僕の神経はまだ衰弱してないよ。」