「痛っ」
首筋に何か走った様に感じた。振り向くと上目使いで意地悪く笑う千絵先輩がいた。
「噛みましたね。殺す気ですか」
何て答えて良いか解らないまま冷静を装って言う。
「割と♪」
あっけらかんとピクニックにでも来たように千絵先輩はしゃべる。笑顔のままだ・・
僕の心臓は1,500m走を走った後ぐらいバクバクしている。
「よくこんな・・・ひとけの無い神社知ってますね?」
言った瞬間後悔した。一瞬千絵先輩の口元が引き攣った気がしたからだ。目は笑ったままなのが何か怖い。重い沈黙が流れていく・・・。観念した様に先輩からしゃべりだした。
「時効だから話すけど・・・
前に、ここの場所教えてくれた人がいたの・・・
先輩の顔はもう笑って無かった。僅かな期待とそんなはずは無いという勝手な思い込みで会話に滑り込む・・・
「それって男ですか?」
ここまできて遠回しでしか聞けない自分が嫌になった。
「元彼・・・」
「ん・・・」
目の前が白く染まっていく・・何も考えられない・・・・
先輩は堰が切れたようにしゃべりたてた。
「元彼にここで何回も何回も抱かれたの!!
コンドームが一箱あっても全部あけたの!!!それでも足りなくてし続けた!!
制服で!私服で!ブルマーで!色んな体位で!!!」
そこまで言うと先輩は ぺたん と力なく座り込んだ・・顔は伏せているがひっくひっくと咽ている。僕は急な展開について行けずしばらく呆然としていたが思考回路がなんとか正常に動き出し先輩の正面に座った。先輩は確かに泣いている様だ。僕は先輩の髪をなんとはなしに撫でていた。しばらくして撫でていた手を頭の後ろにまわしてこちら側にぐいっと寄せた。ぶっちゃけていうと先輩を抱きしめた。
こうしていると先輩の体からは咽ている動きがはっきり解った。とても温かかった・・・。
先輩は力なくそしてはっきりとこう言った。
「そめてほしいの・・・
たかし君の色に染めてほしいの。」
「なんて都合のいい事ねえよな・・・。」
たかしはベットでつぶやいた。