風が強いその町では、干していたスルメイカがよく吹き飛ばされる(一日に700枚は吹き飛ばされる)
あまりによく吹き飛ばされるため、その町では風で吹き飛んだ者は一族郎党スルメイカになるんだという言い伝えが広まっていた。
ある日、貧しい家の兄弟が遊んでいると、急な突風が吹き、兄はそこから吹き飛ばされそうになった。
弟は兄を助けようと力を振るったが、他の者達はスッルメイカスッルメイカと騒ぐだけで見殺しにしようとしていた。
最初は弟も貧乏人に冷たい町だと嘆いてたが、周りの声に流されたのか、だんだん兄がスルメイカに見えてきて、思わずその手を離してしまった。
兄は、この町と自分の力無さを恨みながら地に落ちていった。
その頃独身サラリーマンの大田さんは、自宅で飼ってるハムスターをネチョネチョ頬張っていた。
次の日、急な突風がまた吹き荒れた。その風で、兄弟を露骨に差別した者だけが空の彼方へ吹き飛ばされた。
その頃独身サラリーマンの大田さんは、オフィスの屋上で自分の靴下をネチョネチョ頬張っていた。