笹山結子は教師三年目、初めて自分のクラスを持った。
緊張の家庭訪問も残り2件、ここまでくると、もうだいぶ慣れてきた。
「それにしても、賀山くんの家は遠いなぁ」
結子は山の中を歩いていた。途中までは車を使って来たのだが、ついに人一人進むのがやっとというような細道に差し掛かり、しょうがなく歩いているのだ。
ガサリ
その時だった。木々がざわめいたかと思うと、二人の男が結子の前に現れた。
「なんなの!?あなたたち!」
男達は全身を黒装束に身を包み、目だけを外に覗かせていた。
「それはこちらの台詞でござる!この伊賀の里山に何用か!」
「あ、賀山健人くんの担任の笹山と申します。本日は家庭訪問で来させていただきました」
「あー担任の先生でござるか。健人がいつもお世話に・・・って嘘つけぇぇ!
てゆーか、ここに来るまでに結構トラップとかあったでござろう!?
ただの女教師がここまで無事に来れるわけ・・・」
「ふっ!私の生徒を思う気持ちの前には、あんなもの風の前の塵に同じよ!」
「と・・・とにかく!おぬしのような怪しいおなごを、これ以上里山に入らせるわけにはいかぬ!」
そう言うと二人は素早く跳び回り、結子へ手裏剣を投げ付けた。
「教師パワアァァ!」
しかし結子が叫ぶと、周囲に結界が現れ、手裏剣は次々と弾かれる。
「あれが賀山くんの家ね!」
結子が指差す先には、小さく木の家が見えた。
距離的にはもう少し先のようだ。
「いかん!このままでは里の正体がバレてしまうでござる!
一刻も早く、こやつの息の根を止めねば・・・」
「望むところよ!
必殺!祇園精舎のヴォイス・オブ・チャイム!!」
「な・・・何だこの技は――!?」
一方その頃、家庭訪問が1番最後の渡辺くんは
「あーあ、先生ついに来てくれなかったなー」