〜異世界からの使者〜
一郎太「へへ。レアカードたくさん持ってるじゃん。一枚だけくれよ?」
新之助「や、やだよ。兄上だってたくさん持ってるじゃないか!」
すると何処からか笑い声が聞こえてきた
家臣「はっはっは。若殿達は元気があって良いですな」
殿様「うむ。確かに元気は良いが少しは勉学にも勉めてもらいたいものだ」
新之助「父上!兄上が僕のレアカードを横取りしようとするんです!」
殿様「おお、新之助。男ならそれぐらい自分で何とかしなさい」
一郎太「あ!新之助!父上に言いつける何てずるいぞ!」
家臣(ふふ。当時のわしとアヤツの関係みたいじゃのう)
殿様「うん?どうした?何か面白いことでもあったのか?」
家臣「いえ、ふと昔を思い出しましてな」
一瞬寂しそうな顔を浮かべる家臣
新之助「爺、昔話って?」
家臣「私がまだ子供の頃でした。あの頃は野球という遊びが流行って、良く同い年の子供を集めては空き地で試合をしたものです」
〜50年前〜
中島「おい磯野!野球しようぜ!」
カツオ「おっ、良いねー。じゃ用意してくるからそこで待ってて!」
タラちゃん「カツオ兄ちゃん何処行くですかー?」
カツオ「タラちゃん!?しー!」
サザエ「カツオ!宿題は終わったの!?」
カツオ「帰ってきたらちゃんとするよ」
サザエ「駄目よ!父さんに言いつけるわよ!」
カツオ「そんな!姉さん酷いや!」
ガラガラガラ
波平「おーい、今日は外回りだったから直接帰ってきたぞ」
サザエ「あっ!父さんが帰ってきたわ。早速このこと報告しないと」
玄関では中島と波平が楽しそうに談笑していた
中島「今一番楽しい時間は仲間と野球をする時間ですから」
波平「カツオ、中島君が待ってるぞ。急いで用意をしてきなさい」
サザエ「えっ、父さん良いの?」
波平「ふっ、問題ない」
空き地
中島「あっ!あいつら・・・。隣のクラスのガキ大将のジャイアンだ」
ジャイアン「ああ〜ん?お前等何のようだ?今からここで俺様達が野球することになってるんだ。だからお前達は何処へなりともとっとと失せろ!」
カツオ「今・・・失せろって!?今そう言ったよな!?」
ジャイアン「な、何だよ!だから何だって言うんだよ?」
カツオ「空き地は皆のモンだろ?何でお前が取るんだよ!何で皆で楽しく遊べねーんだよ!」
カツオは次の日学校に来なかった。そしてその次の日も。
中島「僕のせいだ・・・。僕が磯野を誘ったせいで・・・」
すると目の前にいかにも怪しげな女が現れた
謎の女「あなたは罪があると自覚してるのね?」
中島「あ、あんた誰だよ!?ああ、そうさ。僕がいけないんだ」
謎の女「じゃあ罪を償ってきなさい!」
家臣「すると目の前が暗くなって気が付いたらこの世界に来てたんです」
殿様「お主、妖術師か?」
家臣「いえ、私が妖術を使ったわけではありません。私は使われた方です」
一郎太「爺・・・。いや中島さん。俺、弟に意地悪するのやめるよ!人のものを取るのは良くないことだってあなたの話を聞いて改めて思ったんだ!」
家臣「若様・・・。中島うれしゅうございまする」
この日、中島は他界することになる