橋の真ん中にぼろぼろの爺さんが立ってて
もうすぐ大洪水が来るからでっかい船を造るといい、
みたいな事を云って、相当な額の金子を呉れた。
その足で女郎屋に行き、居るだけの女を買って
呑みかつ喰らいながら大騒ぎして愉快にやった。
目が覚めると朝になってた。
次の朝も橋のところに同じ爺さんが立ってて
まあ無視して行き過ぎようかとも思ったけど
ちらちらこっち見ては「どう?」みたいな顔するから
面倒臭くなって素直に謝った。
すると昨日よりちょっと多めの額を包んでくれて
「しっかり」とか云いながら肩ぽんぽん、ってしてくるから
また女郎屋に駆け込んで、今度は弟たちも呼んで相当派手にやった。
目が覚めると朝になってた。
まあそんな感じで行っても行っても爺さん居るし
がんがん金呉れるから、有頂天になって好き放題遊んでたけど、
七日目の朝に行ってみたらもう爺さん立ってなかった。
一応夕方まで待ってみたけど、結局最後まで来なくて
「何だか尻すぼみだよなあ」みたいな話をみんなとしながら
橋の上から石ころ投げたりして陽が落ちるまでだらだらしてた。
見たこともないような真っ赤な夕陽を背景に、
ウミネコみたいな変な鳥が凄い速さでどこかへ飛んでいった。