「どうして、どうして忘れちゃったのっ!? ねえ、どうしてっ!?」
「誰、だよ……キミ……俺を知ってるのか?」
「そんなことも分からなくなっちゃったの……なんで、どうしてっ!?」
あ、俺……女の子を泣かしちゃってる。
だけど、前にもこんなことがあったような……。
「言ってくれたじゃない、約束してくれたじゃないっ!
私を1人にしないってっ! お願ぃ、私を1人にしないでぇっ!!」
なんだろう、この子を見ていると……とても懐かしい……。
<おねがい、ひでくん。ひとりにしないでぇ……>
<だいじょうぶ、かなしいときはいつでも、ぼくがそばにいるから>
そうだ、『あの時』もこうやって、泣いている女の子を慰めてて……。
あの時って……なんだ……? どうしてちゃんと思い出せないんだ?
<私、どうしたらいいのっ? 分からない、分からないよっ!
もう誰を頼ったらいいのっ!?>
<……俺が、お前を1人になんてしないから……だから、もう泣くな>
「ヒデ君……?」
この感じ、このぬくもり、この匂い……!
そうだ、思い出した……。
「ごめん……また、泣かせちゃったな、優美菜」
「ぇ……『ゆみな』って?」
「……俺は、お前のことをそう呼んでいたよな?」
「……うん」
「俺、どうしてこんな大事なこと忘れていたんだろう。ほんと、情けないな」
「思い出してくれたの……?」
「例え記憶がなくなっても、ちゃんと心の奥底で覚えてたよ」
「ほんとう……ほんとうなの、ヒデ君」
「ああ。それに、例え記憶が戻らなかったとしても、
俺は再びお前に惹かれる運命だったと思う」
「そ、そんな……恥ずかしいよ……」
「……」
「…………」
「ん、んっ……これから、田平優美菜に重大発表があります」
「ぅ、ぅん……」
「天野秀義は……優美菜のことを……そ、その……好きだ……」
「……っ! ヒデ君、わたしっ……私もヒデ君のこと……す」
※番組の途中ですがここで地震情報です。