〜ナショナルから大切なお知らせとお願い〜
1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)製のナショナル空調機器は事故に至る危険性があります。
当該対象製品を未点検のままご使用になりますと
・一酸化炭素中毒による死亡事故の危険
・一家の大黒柱であるお父さんの死
・悲しみに暮れる葬儀場に降り注ぐ雨
・ハンカチを手放せない母
・妹の由香は、よくわからないまま参列者にお辞儀をする
・由香「おとーさんはいつぴくにっくからかえってくるの?」
・僕「お父さんはお城が大好きだからなぁ。もしかしたら古城巡りでもしてるんじゃないかな?(笑)」
・由香「えーずるい!なんでゆかもつれてってくれなかったの!?」
・僕「由香はまだお城の良さなんかわからないだろ。お土産に期待して待ってようね」
・妹「ぶー」
・途絶えることのない参列者
・母「え・・、あなたは?」
・妹「誰?このおねーさん?」
・美智子「私、亡くなられた武様の部下として可愛がってもらっていた美智子というものです」
・母「そうだったのですか、本日はお足元が悪・・・・、あなたの声、一度電話で聞いたことがありましたよね?」
美智子「・・・」
・母「確かにこの声だわ。そういえば美智子って名前も聞き覚えある。・・・そうだわ!確か、以前夫の胸ポケットに『BAR MICHIKO』という名刺があったのよ!亡くなる直前、よく泥酔して帰ってきたけれど、バッグの中に到底あの人のものとは思えないような、女性のプレゼントのためにラッピングが施された・・・まさか!!」
・美智子「・・・」
・由香「ママこわぁい・・・」
・美智子「プレゼントは、バイブでした」
・母「何てことなの!!この泥棒猫!!!」
・僕「ちょっとお母さん!」
・由香「ふえぇーん」
ボトッ
・美智子のスカートの中から零れ落ちるバイブ
・雨に打たれるバイブ
・水溜りの中で、まるで鯉が泳いでいるかのように動き回るバイブ
ボトッ
・母のスカートの中から零れ落ちるバイブ
・雨に打たれるバイブ
・水溜りの中で、まるで鯉が泳いでいるかのように動き回るバイブ
ボトッ
・由香のスカートの中から零れ落ちるバイブ
・雨に打たれるバイブ
・水溜りの中で、まるで鯉が泳いでいるかのように動き回るバイブ
ボトッ
・坊主の裾から零れ落ちるバイブ
・雨に打たれるバイブ
・水溜りの中で、まるで鯉が泳いでいるかのように動き回るバイブ
ウィーン、ウィーン、ウィーン、ウィーン
・僕「そうだ、ウィーンへ行こう」
・そして僕は単身ウィーンへ乗り込み、合唱団へ入るためにオーディションを受けたのだ
・落ちたのだ