母親がアクセルを踏み込むとき僕がブブブブゥーッッッと屁をひればその度にアクセルが母親の驚きによって必要分を幾ばくか超過して押し込まれる
その時母親と僕は人間の思考やそれによって制動しうる身体機能を超えた行為をなし得た存在になり、ブブブブゥーッッッ、イカロスはここに甦る
そして一般にそう呼ばれるかつての愚人とは違う、ブブブブゥーッッッ、加速を受け入れあるがまま背もたれにへばりつき全体重をゆだねることでこの鉄塊と一体となった僕たちにもはや蝋の羽根とも呼ばれる鎖はなく、ブブブブゥーッッッ、ただ超越したもの同士に発生する引力の導くままに雲の彼方太陽と名のつく神域へと次こそ向かってゆけるブブブブゥーッッッ