僕の小学5年生の時のクラスメイト。
佐藤 孝史(さとう たかし)くん
という友達がいました。
この佐藤くんはクラスでは体が大きい方。
といっても、そんなにわかりやすく大きいというわけではないのですが、当時スラムダンクがジャンプでやっていたせいか、
佐藤くんのあだ名は
『ゴリ』
になっていました。
ゴリと呼ぶにはさほどでもないのにゴリを背負う事になった佐藤くんでしたが、とにかく佐藤くんは良いやつだったので、それを抵抗するわけでもなく受け入れていました。
そして間もなく、佐藤くんのあだ名は
『ゴリ』
から
『さとゴリ』
へと進化しました。
苗字の佐藤から『さと』が引っ張られたんですね。
さとゴリとして過ごす事、1年。
6年生になった頃、『さとゴリ』と呼ぶ事にみんなが飽きたのか、あだ名が変わりました。
『うゴリ』
佐藤の『さと』をピックアップしていたので、今度は余っていた『う』にスポットが当たったんですね。
うゴリとして過ごす事1年。
小学校を卒業した僕らは、そのまま地元の中学に上がりました。
そしてそこでまた、うゴリに変革の時が来ました。
『たかゴリ』
たかしという、名前の方に降りてきたのでした。
そしてまた1年。
僕らの学年と共にたかゴリはまたもや進化を遂げる。
『しゴリ』
まあ、そうですよね。たかし、の『し』の部分。
今までの流れ上、こうなる事は僕も気づいていたし、もちろん僕以上にしゴリは気づいていたでしょう。
毎年、雪が溶けて川になって流れていき始めると、あぁ、もうすぐで、このゴリも終わりか・・・
などと佐藤くんは名残惜しんでいたかもしれません。
そして問題の中学3年生の年。
今まで
『さとゴリ』
『うゴリ』
『たかゴリ』
『しゴリ』
遂に名前が一周してしまったのです。
もう名前は余っていないのです。
どう進化するんだろう。
もしかしてそのまましゴリで据え置きだろうか。
ドキドキの春がきました。
学校に行くと、佐藤くんは新しいあだ名で呼ばれていました。
その新しいあだ名は
『さとうたかしゴリ』
集まった・・・!!遂に完全体になりました。
飛び散っていた、さと、う、たか、し、が遂に集まった。
四天王が集いました。
いや、でも元々は『さとうたかし』なわけだから、神様とピッコロみたいに分裂していたと考えるのが自然でしょうか。
とにかく、遂にさとうたかしくんは
『さとうたかしゴリ』
完全体となったのです。
すごい。何がかはわかりませんが、とにかくすごいと思いました。
そして1週間後、
ふと佐藤くんを見るとあだ名が
『うゴリ』
に戻っていました。
理由は
『さとうたかしゴリはさすがに長い』
というものでした。
佐藤くん自身は、どのゴリが一番しっくりきていたのかな。