それはもう大変でした、笛を舐め始めたばかりの頃はまさかこんなに多くの笛を舐めることになるとは思っていませんでしたからね。多くて10人ぐらいかな、なんて考えていたんですけどまあそれでも多すぎるのかもしれませんけど。笛を舐めるってことは笛を洗うということになると思うんですけど、この洗うのがもう面倒で面倒で。どれぐらい面倒なのかっていうと、これは例えなんですけどほら歩いていたらたまに転ぶじゃないですか。で、しますよね?怪我。怪我をしたら場合によってはそこを消毒しなきゃならないじゃないですか。別に消毒しなくてもいいんですけど消毒した方がいいと仮定してじゃあ消毒しようかってなる時もあるじゃないですか、で消毒をするじゃないですか。それぐらい面倒なんですよね。放っておいても大丈夫だろそこはってところにわざわざ手を加えなければならない。この面倒さが分かりますか、分からないでしょうね。無理もありません、世界中どこを探しても100人の笛を舐めたことのある奴、それも少年となるとそんなの僕しか居ないでしょうからね。ぶっちゃけ分かってほしくもないという部分もありつつとか言って、ちょっと孤高な僕があなたの前を通りますよっと。笛を舐める時ってやっぱりほら出すじゃないですか、舌。舐めるのに舌を出さなくてどうするんだよって声もあるぐらいですからね。だから出すんですけどいきなり出しすぎると舌の裏が痛くなってしまうんですよ。舌を前に前に出していこうって気持ちはあってもいいんですけど出しすぎた結果として痛くなったら嫌じゃないですか、嫌じゃないですか?だって出すだけじゃないんですよ、出したらその後は動かさないといけないんです。そりゃ動かさなくても一般的には舐めたことにはなるかもしれませんよ。例えば出すだけ出して動かすのは頭だけってパターンもあるかもしれません。違うんです、笛を舐めるというのはただの味見をするということじゃないんです、尋常じゃない味見をするということなんですね。とても確かめるということなのであってそれには相当の覚悟が必要になるんです。とても確かめることなんて人生でそうないじゃないですか、とても確かめることがあるとしても普通に確かめるのと比べたら少ないはずなんですよ。そうなれば当然動かすじゃないですか、でも動かす前に何かあったらとても確かめるどころではなくなりますし逆にあなたがとても確かめられることになってしまうかもしれませんよね。だから少しずつ舌は出した方がいいし出さないといけないんです。じゃあ笛の重さはどうするんだって?どうするも何も持つしかないじゃないですか、目の前に軽そうな笛と重そうな笛があったらどっちも持ってみてください。軽そうな笛を持ってみて軽いなってなるのも重そうな笛を持ってみて重いなってなるのも差はないじゃないですか。まあだんだん気にならなくなってくると思いますけどね。そもそも笛の重さという言い方をしているということは笛はまあまあ重いものという前提で話していると思うんですけどはっきり言います、笛はまあまあ軽いものなんです。だから持って使うんじゃないですか、重かったらわざわざ持って使おうとはならないですよね?地面に置いて使おうってなるのが普通ですよね?どうでしょう、笛はまあまあ軽いものという認識に改めるところから始めてみるというのは。そうしないともったいない気がするんですよね、まあまあ重いものとして笛を舐めるのはただ漫然と笛を舐めることと同じなんです。馬を応援するじゃないですか、でも馬はまあまあ遅いものという前提で応援してもそれは漫然と馬を応援することと同じなんですよ。だから馬はまあまあ速いものとして応援するんです。期待をする対象があってその対象に期待をするように、軽くあってくれと思うことで軽くなったりするんですよね。まあいずれ笛を持つことそのものがどうでもよくなりますから、この点で期待とはちょっと違ってくるんですけどね。笛を舐めながらいつもの道を歩いてみてください、そこではあなたが笛を舐める音だけが聞こえるはずですし、いつもの道なので当然いつもの景色が広がっているはずです