先週、あいつの転勤が決まってからずっと俺は動揺していた。
「奴とだけまだ勝負が付いていない」
そう考えるだけて手に力が入る。時間が経つにつれさらに思いは増し、力が入る。
でも、奴との楽しかった思い出も沢山思い返してしまう。
「もう、勝負なんてどうでもいいじゃないか」
そんな気もしてきた。
しかし手には力が入る。
俺は迷いながら奴の転勤の日を迎えた。
今、俺は駅にいる。
奴を見送る為だ。
素直な気持ちで勝負はどうでもいいと思えたからだ。
俺達は、1週間ぶりにお互いの首を締め合っていた手の力を抜いた。