待って天秤屋さん。
最後にこれも、測ってくれるかしら。
母の、絵とマフラーです。
昔から外で絵を描くのが好きな人でした。
冬の寒い日、ちょうど今日みたいに。
外から帰ってきた母は震えながらズタズタに破けた空の絵をゴミ箱に捨てました。
ゴミ箱を覗いて見えた真っ白な空には鳥が飛んでいて、ちょうど首のところが破けていました。
ちょうど首のところが破けていたから、この鳥は首が長いんだわって気づきました。
綺麗な絵でした。でも、
寒空の中で飛ぶ首のないその鳥はとても悲しそうな目をしていました。
きっと母も悲しかったんだと思うんです。
私も寒いから分かるよ、そんなに首が長いと寒くて寒くてたまらないでしょう、って。
そうしてその鳥の首ごと、絵を破いてしまったんだと思います。
私はゴミ箱の前で泣いてしまいました。
寒さに震える母と鳥を想って、冷たい空の真っ白を想って、破かれ捨てられたこの絵を想って。
だから私すぐ母にマフラーを編んであげたんです。
これがそのマフラーです。
あったかくなぁれって、頑張って編んだマフラーなんです。
プレゼントする時、外で描くのやめたらどうって言おうとしたんです。
でも、マフラーもらったときの母の顔を見たら、もう笑っちゃってそんなこと言えませんでした。
かわいい顔。
私も絵を描けたらなぁって思いました。
あの時の母を絵に描いてそれもプレゼントしてあげられたらなぁって思いました。
それでね、描いてみたんです。
あの時の母を、思い出しながら、頑張ってね。
これがその絵です。
私が描いた、私が大好きな母の絵です。
結構上手くできてるでしょう?うふふ。
ごめんなさい。
昔話長くなっちゃった。
それでね、天秤屋さん。
この絵とマフラーを天秤にかけてくださるかしら。
どっちも大好きな、大好きなもの。
私にとってとても大切なものです。
でも大切なものは一つだけでいい。
でなきゃ重くて疲れてしまうもの。
ただでさえ私、もう、泣きそうで。
私、たまらないの、ごめんなさい。
とても苦しいけれどお願いします。
おかあさん。
私の人生の全部をあなたに捧げます。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね
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