「本当は本心を隠しているんだろう?強がっているんだろう?」
敵にそう言われた余裕仮面は、一筋の涙を流した。
訪れた数秒程度の静寂が、余裕仮面には永遠にも感じられた。僕は強がっているのか?本当は余裕なんて無いのにあるフリをしているだけなんじゃないか?
返答のない疑問を虚空へと投げかけた。
いや、でも僕はもう昔の僕じゃない。
余裕を手に入れ、街の皆の期待を背負って戦っているんだ。
みんなの応援が僕に余裕を与えてくれる。
そうか、僕は1人で戦っているんじゃない。
そう思えた時、僕の中で本当の"余裕"が生まれた。僕が流した涙は余裕が無いが故の涙ではない。
余裕を得たが故の涙なのだ。
「ありがとう」
無意識に余裕仮面から言葉が出た。
そうだ。
この敵への感謝も余裕の表れなのだ。