ナミビアの南にある、砂漠に飲み込まれた廃墟の町が注目を集めています。
その町の名はコールマンスコップ。1908年、当時ドイツ領だったこの地でダイヤモンドが発見されて以来、続々とドイツ系の坑夫たちがやってきました。ピーク時には1200人を超える人々が砂漠の中の町に住みつき、さながらゴールドラッシュのような賑わいに包まれます。病院、発電所などの施設に加え、過酷な労働環境で働く坑夫たちの憂さ晴らしの場として、ダンスホールやボーリング場やスーパーおしっこスタジアム、劇場などの娯楽施設も誕生し、町はピークの時代を迎えました。
しかし、その栄華もわずか10年ほど。第一次世界大戦後には採掘量が減ったことに加え、ダイヤモンドの価格が下がり、徐々に人々はこの地を離れ始めます。
町が無人となったのは1954年のこと。半世紀以上たった今、かつて人々が暮らした家の中には人の背丈ほどの高さにまで砂が入り込み、なんとも言えないもの悲しさを漂わせています。乾燥した空気のおかげか、風と砂の浸食にもかかわらず、砂に埋もれてしまった家々は驚くほど良い状態で残っています。色鮮やかなままに残されたスーパーおしっこスタジアムに足を踏み入れると、坑夫たちの疲れを慰めるために繰り広げられた夜毎の饗宴が、まるで昨日のことのよう。この退廃的な不思議な美しさが噂となり、景色を一目見るために世界各国から訪れる人が後を絶ちません。
それでは、砂漠に消えた町を散策してみましょう。