「吉村さんが、吉村さんがー!」
「小島さん落ち着きなさいっ、あんたが行っても吉村さんはもう助からん、この波じゃ助けに行ったあんたも溺れてしまう」
「だけど私のせいで、私がサーフィンに行こうと言ったせいで」
「源さんからも言ってやってくれ、このままじゃ小島さん海に飛び込んで助けに行ってしまう!」
「あれば見らんね、あの顔ば。
もう孫の顔も見れたしわしゃいつ死んでんよかー言いよった男の顔ば見らんね。
目ばあんなに開いて手足ジタバタさせて必死ばい。
もういつ死んでんよかー言いよったとに。
鮫が足でん引っ張てきたら、くらわしちゃるばい言いよった男があげな様子ばい。
死んで灰になったら海に撒いてくれ、食物連鎖に加わりたか言いよった男が鼻水垂らしてゴボゴボ言っとる。
小島さんは目を逸らしちゃいかん、最後を、あん男の最後をちゃんと見てやりい。
ほらもうすぐ沈むばい。
4人で夕日を見よう言っとったのに吉村さん先に沈むばい。」
「よ、吉村さん・・・吉村さーん!!」
「警察に連絡しましょう・・・あとは警察に任せましょう・・・」
「待たんね!ちょっと待たんね!
波が何か運んできた!吉村さん!吉村さんじゃなかとね!
なに目を逸らしとうとね、もうよか!どかんね、おいが行くけんどかんね!
ハァハァハァ・・・
吉村さん!吉村さん!
吉村さん!よしむ・・・らさんの使っとったサーフボードやこれ!
サーフボードやこれ!ちょっと見て!
吉村さんに見えたんサーフボードやった!サーフボード!
なにボケーッとしようとね、はよ警察呼ばんね!」