教室はいけ騒々しく響き渡り、耳元には不愉快な雑音が響き渡る。
先生が教室から顔を覗かせても誰もその音を鎮めようとしない。
いつまでもいつまでも壊れたスピーカーの様に騒ぐ音は、
まるで此処が動物園かと錯覚するのに十分な説得力を持っていた。
「では、この前のテストを返すからな」
先生が雑音に紛れて言葉を発する。しかしその言葉に耳を傾ける者は居ない。
「加藤、神崎、菊池――――」
先生が名前を告げ、生徒たちは怠そうにテストの結果を受け取る。
皆がテストの結果を受け取った後、先生は言った。
「では、これにて授業を終える。DEAD!」
「DEAD!!!!!!!」
掛け声と共に生徒と先生は一斉に死体となった。
死体を片付ける役目を与えられた僕は静かに死体を片付ける。
先生はまた僕の名前を呼ばなかった。
自ら死体になることはなく、死体を片付ける役目を持つ僕のことを、
彼は同族だとは見ていないのだろう。
恐らく僕のテストも、採点すらしていないのだと思う。
彼らは僕のことを死体を片付けるシステムとしか思っていないのだから。
死体を片付け終えた僕は教室の隅に座り込む。
そして僕という存在について考える。
僕は安易に死体になるような人生は送りたくなかった。
だから僕は死体を片付ける係になる道を選んだが、
結局そのおかげで他の人たちと仲良くすることはできず、
社会的には死んだも同然の扱いを受けていた。
騒音があれほど煩く感じていたのも、
僕にとっては全く関係のないノイズだったからなのかもしれない。
もし、もしも僕が死体になる道を選んで、
そして皆と仲良くしていたら、
あの騒音を心地良く感じられたのではないか?
先生、教えてください。僕に答えをください、採点をしてください。
しかし既に死体となった先生は何も語らない。