受験生「ここからはできればご家族の方もご一緒に聞いてもらいたいんですが」
面接官「家族には私から伝えておきます。時間がないので今お願いします」
受験生「時間がない……確かにそうですね。私は癌です」
面接官「そんな……あとどれぐらい生きられるんですか?」
受験生「私の場合、年齢が18歳と若いため癌の進行が早く30日をひとつの目安として下さい」
面接官「30日……合格通知まで2週間としてあなたには半月の時間しかないじゃないですか」
受験生「もちろん、延命治療などで期間を延ばすことは可能です」
面接官「なぜあなたなんですか?なぜあなたが癌になどならなければならない。いやそれよりもなぜ弊社なんですか?他にもたくさんやりたいことはあったでしょう?治療をすれば少しでも長く生きられるかもしれないのに」
受験生「落ち着いて下さい、面接官」
面接官「恐いんです。あなたが死ぬのが恐いんです」
受験生「死を恐れることは恥ずかしいことではありません。当たり前のことです」
面接官「嫌だ、死んでほしくない」
受験生「人はいずれ死にます。悲しいかな私にはそれを変えることはできません。私だって辛い。それは死ぬことよりも私が死んで悲しむ私の同僚私の上司私の社長そして面接官であるあなたの顔が目に映るからです」
面接官「……」
受験生「最後に何か一言どうぞ」
面接官「不合格です」
受験生「ズコー」