「若いうちはこれっくらいの元気がなくっちゃな、あっはっは。坊主、お前も混ぜてもらえ」と大家の繁蔵さんに言われたこともあったね。
この時、ぼくはどんな顔をすればよかったんだろう。
「あっはっは」と愛想を浮かべて媚びるべきだったのかな。
でも実際、生身のぼくが電車達に混じったら、十中八九死んじゃうよね。
暗に「このアパートから出ていけ」と言っていたのかな。
それからほどなくして、繁蔵さん、この世から追い出されちゃったね。
ああ、こんなに冷たくなっちゃって。
今さらだけれど媚びへつらうよ。
「あっはっは」