「フッ、あそこで禁断の技・一旦棚に戻しを使ってくるとは腕を上げたな。さあ、その鞄の中を見せな!」
「ククク、ほらよ」
「なっ、空っぽだと!? しかし、一体何故……」
「鞄の底をよく見てみろ」
「こ、これは、底が開いている! なるほど、商品を入れたハシから床に落としていたのか、通りで店のあちこちにチロルチョコが落ちていると思ったぜ」
「じゃ、そういうことだ」
「ちょっと待ちな!」
「まだ何かあるのか?」
「そのポケットの中を見せてみな」
「ぐっ……」
「やっぱりだ! さあ、チロルチョコが何故そこに入っていたのか説明してもらおう!」
「フフフ」
「!?」
「これは普通にレジで買ったやつだ!」
「な、なにぃ!?」
「お前が俺の万引きを予想して出口に先回りしている時、俺はちょうど店員がレシートが出るところから青海苔ばかり出てきて困っているのを傍観していたのさ!」
「そ、それじゃあまさか!」
「そうさ! これはネクタイじゃなくて青海苔なのさ!」
「くっ……完敗だ……。しかし、お前は何も盗まないことで、俺のプライドを盗んでいきやがった。この借りは必ず返してやる」
「悪いな。俺は一度万引きをした店では二度と万引きをしない主義……」
「ち、ちくしょおおおお」