駅の前。携帯のテトリスをかれこれ何十分しただろう。
待ち合わせには早く着きすぎたとはいえ、もう一人くらいいてもいいんじゃないか。
昨日、体育祭が終わり、体育委員だった俺は後片付けに終われていた。
「あ、遠藤くん。」俺を呼んだのはクラスのもう一人の体育委員、藤本明美だ。
「明日赤組の他の体育委員も一緒に打ち上げやろうって話になったんだけど、空いてる?」
「誰も来ないな・・・。」
駅に入っていくサラリーマン達と夕焼けを見ていると少し寂しい気もした。
「遠藤くんもう来てたんだ。」
藤本さんの声だ。
振り返ると普段の活発な雰囲気からは想像もつかない、清楚な格好をした彼女がいた。ほんのりと化粧もしている。
「おお、やっと人来た〜。他の人全然来なくてさ。ってか一人?」携帯を弄るのをやめ、尋ねた。
「ふふ、他の人には何も言ってないの、実は今日は二人だけ。」
「え?」と聞き返すより早く、藤本さん、いや明美は僕の手を取って歩き始めたのだった。
そのころキャメロンは湯気を出していた。