トムさんのピックアップ

[第 1000 回]

はげましてあげてください。
「マツナガこの子達アナタはどう思う?」
この方はルリ子先生。そして私はマネージャーのマツナガ。
「かなり元気がないかと。」
空はどんより曇り空。
6人は入れるんじゃないかと思うルリ子先生の日傘が揺れる。

「今のマツナガ0点。」
「と、言いますと?」
「本当はこの子たち元気なの。ただ少しシャイなだけ。私がこの子達咲かせてあげる。」
そう言うとルリ子先生はゆっくりハート型のサングラスを外す。

「そう、そうなのアナタ長男なの。」
ルリ子先生のトークが始まる。花と会話するのだ。
いつもよりキツメの口臭で会話するルリ子先生は輝いて見える。
「マツナガ、この子アナタから見て4番目アタシから見て6番目のこの子。」
「はい。」
「何て言ってる?」
「水が欲しいと言っているように聞こえます。」

「今のマツナガ2軍落ち。」
キラリと光る前歯のセラミック差し歯が厳しさを物語る。

「聞きなさいマツナガ。」
「はい。」
「花も人も同じなの。アタシのそばにいるのならアナタも咲きなさい。咲き乱れなさい。」
気がつくと私は泣いていた。
そしてこの人に一生ついていきたいとも思った。

「マツナガ。この子達咲くわよ。咲き乱れるわよ。」
風に揺れる花たちが心なしか喜んでいるように見える。

「マツナガ。アタシに咲かせない花は」
「ありません。」
「マツナガ。アタシの名前は」
「鷲鼻ルリ子。」
「そう、名前にハナを持つ女。」

「マツナガ。アナタも大分咲いたわね。いいわ、咲き乱れなさい。」
そう言いながら先生はゆっくり底なし沼に落ちていった。

いっせいに花が咲いた。
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by こむぎむ